複数のWordPressサイトに記事を投稿・管理する方法|5つのやり方の比較と、権限・管理のコツ
公開日: / カテゴリ: WordPress入稿 / 執筆: エラバレル

「ブログを3つ運営していて、管理画面のログインと切り替えだけで疲れてしまう」「お客さんのWordPressサイトの更新を、何社分もまとめて引き受けている」「どのサイトにどの記事を、いつ出したのか、分からなくなる」。WordPressのサイトが2つ、3つと増えると、こうした悩みが出てきます。
先に結論をお伝えします。複数のWordPressサイトへの投稿を楽にする方法は、「管理画面の切り替えを楽にする」「サイトをまとめて1つの仕組みにする」「外部から投稿先を選んで投稿する」の3つの考え方に分かれます。 すでに別々に動いているサイトなら、まとめて作り直すより、外部から投稿する仕組みを使うほうが、手間もリスクも小さく済みます。
この記事では、5つのやり方の比較、それぞれの手順と向き不向き、制作会社がお客さんのサイトに投稿するときの権限の分け方、複数サイトの投稿を管理するコツまでを、順番に解説します。
この記事でわかること
- 複数のWordPressサイトを運営するときに起きやすい悩み
- 5つのやり方の比較表と、向いている人
- WordPressのマルチサイト機能の仕組みと注意点
- 外部から投稿先を選んで投稿する方法
- 制作会社がお客さんのサイトに投稿するときの、権限とパスワードの扱い
- 複数サイトの投稿を管理するコツとチェックリスト
複数のWordPressサイトを運営するときの悩み
WordPressは、1つのサイトを1つの管理画面で動かす仕組みです。サイトが増えると、そのぶん管理画面も増えます。よく聞く悩みは、次のようなものです。
- ログインと切り替えに時間がかかる:サイトごとにURL、ユーザー名、パスワードが違い、毎回ログインし直す
- どのサイトを触っているのか分からなくなる:管理画面の見た目がどれも同じで、別のサイトに記事を投稿してしまう
- 同じ作業を何度も繰り返す:カテゴリやアイキャッチ、予約の設定を、サイトごとに同じ手順でやる
- 投稿の予定が把握できない:どのサイトに、いつ、何を出す予定なのかが、頭の中にしかない
- パスワードの管理が不安:お客さんのサイトの管理者のパスワードを預かっていて、退職や契約の終了のときに困る
これらの悩みは、「管理画面を1つずつ開く」という作業のやり方から生まれています。解決の方法は、悩みのどこを減らしたいかで変わります。
「マルチサイト」という言葉の2つの意味
「WordPress マルチサイト」と言うと、WordPressに標準で入っている「マルチサイト機能」(1つのWordPressで複数のサイトを動かす仕組み)を指すことが多いです。一方で、単に「複数のWordPressサイト」という意味で使われることもあります。この記事では、標準の機能を「マルチサイト機能」と呼び、別々に動いているサイトを「複数のサイト」と呼んで分けています。
5つのやり方の比較
| やり方 | 減らせる手間 | 準備 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ① 管理画面の切り替えを工夫する | ログイン、取り違え | ほとんど不要 | サイトが2〜3個の人 |
| ② マルチサイト機能でまとめる | ログイン、プラグインの管理 | サイトの作り直しが必要 | これから同じ系列のサイトを複数作る人 |
| ③ 管理ツールを使う | 更新・バックアップの管理 | ツールの導入 | 多くのサイトの保守を引き受けている人 |
| ④ REST APIで外部から投稿する | 投稿の作業 | プログラムが必要 | 開発者がいる会社 |
| ⑤ Googleドキュメントから投稿先を選んで投稿する | 投稿の作業、設定の入力 | サイトの登録だけ | 記事の原稿をドキュメントで作っている人 |
「投稿」の手間を減らしたいのか、「サイトの保守」の手間を減らしたいのかで、選ぶものが違います。記事を出す作業を楽にしたいなら④か⑤、プラグインの更新やバックアップをまとめたいなら②か③、と考えると分かりやすくなります。
方法1:管理画面の切り替えを工夫する
サイトが2〜3個なら、まずはお金も準備もかからない工夫から始めましょう。
- ブラウザのブックマークを、サイトごとの管理画面にする:「サイトA 管理」「サイトB 管理」のように名前を付け、フォルダにまとめる
- パスワードの管理の機能を使う:ブラウザやパスワード管理のツールに保存して、ログインの手間を減らす
- 管理画面の色をサイトごとに変える:WordPressの「ユーザー」→「プロフィール」にある「管理画面の配色」で、サイトごとに違う色を選ぶ。どのサイトを触っているか、ひと目で分かるようになります
- ブラウザのプロフィールを分ける:仕事用・お客さんごとなど、ブラウザのユーザーを分けると、ログインの状態が混ざらない
特に3つ目の「管理画面の配色」は、数分でできて効果が大きい工夫です。別のサイトに記事を投稿してしまう失敗を、かなり減らせます。
2段階認証も忘れずに
パスワードをブラウザに保存する場合は、管理画面へのログインに2段階認証(パスワードに加えて、スマートフォンのコードなどで確認する仕組み)を入れておくと安心です。複数のサイトを管理していると、1つのパスワードが漏れたときの影響が大きくなります。
方法2:WordPressのマルチサイト機能でまとめる
マルチサイト機能は、1つのWordPressの中で、複数のサイトを動かす仕組みです。サイトの集まりは「ネットワーク」と呼ばれ、1つの管理画面から、ネットワークの中のサイトを切り替えて管理できます。
できること
- 1回のログインで、ネットワーク内のすべてのサイトを管理できる
- プラグインやテーマを、ネットワークでまとめて入れたり更新したりできる
- ユーザーを、サイトごとに割り当てられる
- サイトのURLは、サブドメイン(
a.example.com)か、サブディレクトリ(example.com/a/)の形になる(設定によっては別のドメインも使える)
始め方の流れ
- サイト全体のバックアップを取る
- サーバーの
wp-config.phpというファイルに、マルチサイト機能を有効にする1行を書き足す - 管理画面の「ツール」に表示される「ネットワークの設置」から、サブドメインかサブディレクトリかを選ぶ
- 表示された設定を、
wp-config.phpと.htaccessに書き足す - ログインし直すと、ネットワークの管理画面が使えるようになる
注意点
マルチサイト機能は便利な反面、次のような注意点があります。
- すでに別々に動いているサイトをまとめるのは大変:記事や画像、ユーザーを移す作業が必要で、URLが変わることもある
- 1つの不具合が全サイトに広がる:プラグインの不具合やサーバーの障害が、ネットワーク内のすべてのサイトに影響する
- 対応していないプラグインがある:マルチサイト機能での動作を想定していないプラグインもある
- サーバーを分けられない:すべてのサイトが同じサーバーで動く
そのため、マルチサイト機能は、これから同じ会社や同じ系列のサイトを、まとめて立ち上げる場合に向いています。持ち主が違うサイトや、すでに運営しているサイトをまとめる目的には、あまり向いていません。
方法3:管理ツールで複数のサイトをまとめて保守する
WordPressには、複数のサイトの保守をまとめて行うための管理ツールがあります(ManageWPやMainWPなどが知られています)。各サイトに連携用のプラグインを入れておくと、1つの画面から、次のような作業をまとめてできます。
- プラグインやテーマ、WordPress本体の更新
- バックアップ
- サイトの稼働の確認
これらのツールは、主に「保守」の手間を減らすためのものです。記事の投稿の機能は、ツールやプランによって違うので、使う前に確かめてください。お客さんのサイトの保守をまとめて引き受けている制作会社には、とくに向いています。一方で、各サイトに連携用のプラグインを入れる必要があり、そのプラグイン自体の更新や、ツールを使うためのアカウントの管理も増えます。サイトの数が少ないうちは、方法1の工夫と、各サイトの自動更新の設定で足りることも多いでしょう。
方法4:REST APIで外部から投稿する
WordPressには、REST API という、外部のプログラムから記事を作ったり読んだりするための仕組みが、最初から入っています。プログラムを書ける人なら、1つのプログラムから、複数のサイトに記事を投稿できます。
- 各サイトの管理画面の「ユーザー」→「プロフィール」で、アプリケーションパスワード(外部の連携用のパスワード)を発行する
- プログラムに、サイトのURLとユーザー名、アプリケーションパスワードを、サイトの数だけ登録する
- 投稿したいサイトを選んで、記事の題名・本文・ステータス(下書き・予約・公開)を送る
アプリケーションパスワードは、WordPress 5.6以降の標準の機能です。ログインのパスワードとは別に、連携ごとに発行でき、いつでも取り消せます。発行の手順と、使えないときの確認箇所はアプリケーションパスワードの記事、投稿のしかたはWordPress REST APIで記事を投稿する方法の記事で説明しています。
自由度は高いのですが、本文をWordPressのブロックの形にする処理や、画像のアップロード、エラーの対応は、すべて自分で作る必要があります。
方法5:Googleドキュメントから、投稿先を選んで投稿する
記事の原稿をGoogleドキュメントで作っているなら、ドキュメントから投稿先のサイトを選んで、直接WordPressに記事を作る方法があります。
エラバレルの「ドクポス」は、GoogleドキュメントのURLを貼ると、WordPressに記事を作るウェブサービスです。複数のWordPressサイトを登録でき、記事ごとに投稿先を選べます。
- ログインはGoogleアカウントで1回だけ。サイトごとに管理画面にログインし直す必要がない
- WordPressへの接続は、アプリケーションパスワードを使う。WordPressのログインのパスワードは渡さない
- 見出し・太字・リンク・箇条書き・表・画像・蛍光ペンを、WordPressのブロックに変換する。画像はメディアライブラリにアップロードした状態で入る
- ドキュメントの先頭に「カテゴリ:」「スラッグ:」「アイキャッチ:」「ステータス:」「公開日:」などを書くと、記事の設定に入る
- 下書き・予約・公開から選べ、1回で最大50本までまとめて投稿できる
- SEOの欄の書き込みやテーマの検出のための連携プラグインは、入れても入れなくても使える
3つのブログを運営している場合の流れの例
- ドクポスに、サイトA・サイトB・サイトCの3つを登録する(各サイトでアプリケーションパスワードを発行して入力)
- ライターから届いたGoogleドキュメントの先頭に、カテゴリ・スラッグ・公開日を書く
- サイトAの記事5本のURLをまとめて貼り、投稿先にサイトAを選んで、予約で投稿する
- 同じように、サイトB・サイトCの分も投稿先を切り替えて投稿する
- 各サイトの投稿一覧で、予約の日時を確かめる
サイトごとに管理画面を開いて、貼り付け・画像のアップロード・設定の入力をする作業がなくなるので、サイトの数が増えるほど、減らせる時間も大きくなります。
投稿先を選ぶときに気をつけたいのは、やはり「サイトの取り違え」です。投稿の前に、投稿先のサイト名と、ドキュメントの先頭に書いたカテゴリが、そのサイトのものになっているかを確かめてください。最初は「下書き」で投稿し、各サイトのプレビューで確かめてから予約や公開に切り替えると、取り違えがあっても公開前に気づけます。
制作会社がお客さんのサイトに投稿するときの注意
制作会社やフリーランスが、お客さんのWordPressサイトの更新を引き受けている場合は、投稿の効率だけでなく、権限とパスワードの扱いにも気をつける必要があります。
投稿用のユーザーを分ける
お客さんの管理者のアカウントを借りて作業するのではなく、作業する人ごとに、投稿用のユーザーを作ってもらうのが基本です。WordPressのユーザーには、権限の段階があります。
| 権限 | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 管理者 | すべての設定、プラグインの追加、ユーザーの管理 | サイトの持ち主 |
| 編集者 | すべての記事の投稿・編集・公開、カテゴリの管理 | 記事の更新をまとめて任されている人 |
| 投稿者 | 自分の記事の投稿・公開、画像のアップロード | 自分の記事だけを出す人 |
| 寄稿者 | 自分の記事の下書きまで(公開はできない) | 原稿を入れるだけで、公開は持ち主がする場合 |
作業に必要な分だけの権限を持つ。これが、お客さんのサイトを預かるときの基本です。記事の更新だけを引き受けているなら、「編集者」か「投稿者」の権限で十分です。管理者の権限を持っていると、誤ってプラグインを止めてしまうなどの事故も起きやすくなります。
パスワードは、取り消せる形で預かる
外部のツールやプログラムから投稿する場合は、ログインのパスワードではなく、アプリケーションパスワードを使います。契約が終わったときや、担当者が変わったときに、お客さん自身がプロフィールの画面から取り消せるので、お互いに安心です。
契約の終わりを先に決めておく
お客さんのサイトの更新を引き受けるときは、契約が終わったときに、作業用のユーザーとアプリケーションパスワードを削除する、という手順を最初に決めておくとトラブルを防げます。誰が、どのサイトの、どの権限を持っているかを一覧にしておきましょう。
複数サイトの投稿を管理するコツ
投稿の作業が楽になっても、「どのサイトに、いつ、何を出すか」の管理ができていないと、重複や出し忘れが起きます。次のような工夫で、全体を見渡せるようにしておきます。
- 投稿の予定表を1つにまとめる:表計算のシートに「サイト名・記事の題名・原稿のURL・公開日・状態」を並べ、全サイトの予定を1枚で見る
- 原稿の置き場所をサイトごとに分ける:Googleドライブのフォルダを「サイトA」「サイトB」のように分け、原稿の取り違えを防ぐ
- カテゴリ名とスラッグのルールをサイトごとに決める:サイトによってルールが違うと、毎回迷う原因になる
- 予約投稿で、公開の時刻をそろえる:サイトごとに「毎週月・木の朝8時」のように決めておくと、予定が組みやすい
投稿の予定表の例
予定表は、複雑なものでなくて構いません。次のような列があれば、全サイトの状況が1枚で分かります。
| サイト | 記事の題名 | 原稿 | 公開日 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| サイトA | バックアップの取り方 | ドキュメントのURL | 10月20日 8:00 | 予約済み |
| サイトA | 表の作り方 | ドキュメントのURL | 10月23日 8:00 | 確認中 |
| サイトB | 春の新メニューのお知らせ | ドキュメントのURL | 10月21日 12:00 | 原稿待ち |
| サイトC | よくある質問の追加 | ドキュメントのURL | 10月22日 9:00 | 下書き済み |
「状態」の列は、「原稿待ち → 確認中 → 下書き済み → 予約済み → 公開済み」のように段階を決めておくと、どこで止まっているかがすぐに分かります。担当者が複数いる場合は、「担当」の列を足しておきます。
複数サイトの投稿のチェックリスト
- 管理画面の配色やブックマークで、サイトを取り違えない工夫をしている
- サイトごとに、作業用のユーザーと権限が決まっている
- 外部から投稿する場合は、アプリケーションパスワードを使っている
- 全サイトの投稿予定が、1つの表で見られる
- 原稿の置き場所が、サイトごとに分かれている
- 契約や担当が変わったときの、ユーザーとパスワードの削除の手順が決まっている
記事をまとめて予約する方法はWordPressで記事をまとめて予約投稿する方法の記事、まとめて投稿する方法の比較はWordPressに記事を一括投稿する方法の記事で説明しています。
よくある質問
同じ記事を、複数のサイトにそのまま投稿してもいいですか?
同じ内容の記事が複数のサイトにあると、検索エンジンがどちらを検索結果に出すかを選ぶことになり、意図しないサイトが表示されることがあります。どうしても同じ記事を載せる場合は、片方のサイトのcanonical(正規URL)に、もう片方の記事のURLを書く方法があります。詳しくはcanonicalタグとは?の記事をご覧ください。
マルチサイト機能と、別々のWordPressは、どちらがいいですか?
これから同じ系列のサイトをまとめて作り、同じプラグインやテーマを使うならマルチサイト機能、サイトごとに持ち主や目的、サーバーが違うなら別々のWordPressのほうが向いています。迷ったら、別々のまま、投稿の作業だけを外部からまとめる方法を考えてください。
WordPressのログインパスワードを、外部のサービスに渡しても大丈夫ですか?
おすすめしません。外部のサービスやプログラムとつなぐときは、アプリケーションパスワードを使ってください。ログインのパスワードとは別のもので、連携ごとに発行・取り消しができます。
アプリケーションパスワードの項目が、プロフィールの画面に出てきません。
WordPressが5.6より古い、サイトがHTTPSになっていない、セキュリティのプラグインやサーバーの設定で止められている、などの原因が考えられます。確認の箇所はアプリケーションパスワードの記事で説明しています。
サイトごとにテーマが違っても、同じ原稿から投稿できますか?
見出し・太字・表・画像などの基本のブロックは、テーマにかかわらず使えます。吹き出しやボックスのように、テーマ独自の装飾は、テーマごとに書き方が違います。ドクポスは、CocoonとSWELLの吹き出し・ボックスに対応しています。
お客さんに、アプリケーションパスワードの発行をどう頼めばいいですか?
お客さんの管理画面で、作業用のユーザーを作ってもらい、そのユーザーでログインして「ユーザー」→「プロフィール」のアプリケーションパスワードの欄から発行してもらいます。発行したパスワードは一度しか表示されないので、その場で控えてもらい、安全な方法で受け取ってください。
サイトが10個以上あります。どの方法がいいですか?
投稿の手間を減らしたいなら、外部から投稿先を選んで投稿する方法(REST APIか、Googleドキュメントから投稿するサービス)が向いています。保守の手間も大きいなら、管理ツールとの組み合わせを考えてください。
まとめ
複数のWordPressサイトの投稿は、「何の手間を減らしたいか」で方法を選ぶと、無理なく楽にできます。
この記事のまとめ
- サイトが2〜3個なら、ブックマーク・パスワードの保存・管理画面の配色の工夫から始める
- マルチサイト機能は、これから同じ系列のサイトをまとめて作る場合に向いている。既存のサイトをまとめるのは大変
- 保守の手間を減らすなら管理ツール、投稿の手間を減らすなら外部から投稿する方法が向いている
- 外部から投稿するときは、ログインのパスワードではなくアプリケーションパスワードを使う
- お客さんのサイトでは、作業用のユーザーを作り、必要な権限だけを持つ
- 全サイトの投稿予定を1つの表にまとめ、原稿の置き場所をサイトごとに分ける
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